議決権行使ガイドライン
1. 目的
当ガイドラインは、議決権行使に関する規程に基づき議決権の指図行使に関して具体的な方針を定めることを目的とする。 企業の目的は株主の利益を最大化することであり、その目的を達成することによって企業は経済に貢献していると考えている。株主資本の提供者である株主が企業の最終的な所有者である。ポートフォリオ・マネジメントに係る意思決定や、株主総会における議案に対する投票行為、及び企業経営者との継続的な対話を通じたアクティブ運用によってイーストスプリング・インベストメンツは顧客に付加価値を提供することを目指している。企業訪問を定期的に行うことにより、企業の変化について時間をかけて観察し、目標に対する進捗状況を評価することが可能になると考える。
また、当社では、日本株の運用において、日本版スチュワードシップ・コードが表明する原則とガイドラインを受入れる。
2. 議決権行使方針
当社は議決権の行使に係り原則主義(プリンシプル・ベース・アプローチ)を採用する。当社における全ての議決権行使は、この議決権行使ガイドラインの原則に則って検討を行う。
議決権行使においては、原則として投資先の会社経営陣を支持する。しかし、会社の状態が当社の期待に沿えないような状況が続く場合には, 経営に変化を促す方向で積極的に議決権行使に臨むものとする。その場合には、会社の戦略の策定といった議題から、経営陣の人選或いは取締役の選任といった議案についてまで当社の考え方を反映した形で議決権行使を行う。
確かな情報に裏打ちされた能動的な議決権行使は運用における欠くことのできない重要な要素であると考える。議決権行使は運用と切り離すことが出来ないもので、議決権の行使によって当社は株主としての利益を守るのみならず付加価値をもたらすことも視野に入れている。当社は議案について検討を行い、必要であれば経営陣と会合を持った上で議決権行使を行う。当社の目的が理解され、当社の議決権行使の判断が投資家又は顧客利益の最大化に違わぬことを確保するため、当社では異論の多い決議事項については、議決権行使の前に常に議論を行う。
当社では、議決権行使に際し、費用が極端に高い場合及び株主利益に資する可能性が低い場合、議決権を放棄又は棄権する。
当社の方針として、顧客からの議決権行使に係る指示は受けないこととしている。
議決権行使に係る意思決定プロセスを補うため、当社では議決権行使アドバイザーを利用する。特に以下3.から7.において議決権の行使に係る方針を規定している各議案以外の議案については、基本的に議決権行使アドバイザーの推奨方針に従うものとするが、その利用に際しては議決権行使アドバイザーの推奨方針やアドバイスを機械的に適用しているわけではなく、議決権行使アドバイザーが推奨する行使方針の内容を理解し、当社の行使方針との適合性或いは差異を把握するための検証を随時行い、必要に応じてアドバイザーと対話を行う。そのうえで各議案に対する投票については当社の議決権行使方針の原理原則に照らし、常に自ら判断を下すこととする。
当社における議決権行使方針の原理原則を以下に列記する。
日本株についての議決権行使方針
企業業績が不振の場合、当社では議決権の行使に係り機械的な定義を適用することはない。企業の業績不振については、当該企業の株式を保有するに至った投資理由に照らして、事業の詳細を理解し判断することとしている。また将来の業績改善に向けた経営陣が掲げる戦略についても考慮する。
経営陣が反社会的行為に加担し、その責任が合理的な範囲内で特定される又は想定される場合、反対票を投じる。反社会的行為とは違法行為、公序良俗違反、及び経済的損失と定義している。議決権行使に際しては、企業が経営陣の責任とコンプライアンス基準を規定し、事業改善に対する応答性を定めるプロセスを適切に有しているかを考慮する。
退職する取締役及び監査役に対する退職賞与支払いに係る議案については原則として反対する。何故ならこういった賞与は株主の視点で見た取締役としての独立した立場からの監督を促進するものにならないと考えるからである。監査役に対する賞与は本来的に利益相反を内含するものであると考えている。
敵対的買収防止策(ポイゾン・ピル)については3.に規定する公開買付けに係る議決権行使方針及び手続きに沿って、自動的に反対する。
増資議案についてはケース・バイ・ケースで判断すべきと考える。調達資本コストと投資リターンの関係が増資に伴う希薄化を正当化できるのかという観点で評価を行う。株主にとって明らかに利益とならない増資議案や希薄化の影響が不透明な優先引受権(ワラントも含む)の発行を伴うような議案については反対する。また調達資本の用途が不明瞭な議案についても反対する。本件については5.に規定する増資に係る議決権行使方針及び手続きを参照のこと。
3. 公開買付け
市場での株価は取締役の業績評価をモニターする重要なベンチマークであり、上場企業においては、公開買付けあるいは合併は、株主価値を守るため必要かつ重要な手段となる場合がある。
当社の基本方針としては現在の経営陣が健全であると判断し、支持する。一方、経営陣が株主の妥当と思われる期待に恒常的に沿わない場合や、買付けの規模が当該企業の将来の見通しを十分反映していると当社が判断する場合には、敵対的買収を支持する権利を留保する。
4. 報酬プラン
会社が高い水準の人材を集め維持する能力を持つことが、株主利益に資することは明らかであり、報酬の水準は会社の事業規模、複雑性及び業界の水準を勘案したうえで、相対的な業績を反映して判断すべきであると考える。
5. 増資
企業の資本は、株式発行、債券発行およびその他借入れ等によって構成されるが、貸手およびその他の債権者の権利は法律によって明確にされている。この点は、会社の株主が有する権利とは対照的で、株主は主に株主総会において企業の定款変更および取締役の選任といった議案に対して議決権を行使することによって株主の権利を守るものと考えている。
株主間で経済的に有利・不利が生じる優先引受を伴う議案については原則として反対する。したがって、取締役は議案毎に、増資が既存の株主、顧客または投資家の利益にとって最良であるかについて説明する義務を負うと考える。
6. 企業の社会的責任と環境・社会・ガバナンス(ESG)
「企業の社会的責任」とは、企業及び投資家が事業を行う際の全体的な枠組みを示しており、特に環境、地域社会、及び従業員に関係する問題について重点を置くものであると考える。
成長と富の創造は依然として繁栄の基礎となるもので、当社では、良好に経営されている事業は、事業を前進させるにあたって、より広範囲の社会及び環境の問題について、当然のことながら考慮すると考える。
当社では、持続可能な企業収益に影響を与える重要なリスクを評価する際に、ESGを考慮する。
ESGが影響を及ぼす重要なリスクを評価する際には社内および外部から得た情報を活用し、顧客利益のために投資先企業との対話を行い、議決権を行使する。
7. 利益相反
議決権行使においては、顧客と当社及び当社従業員の間における利益相反が生ずることがあると考えることから、当社においては、議決権行使が顧客利益の最大化を目的とし、利益相反を伴うものではないことを示さなくてはならないと考えている。利益相反が生じる例としては以下のものがあると考える:
- 当社の顧客として機関投資家向けセパレート・アカウントを開設している発行体が、非定型的な議案に関する議決権行使を求めている場合。
- 議案に係る提案者が当社とビジネス上の関係を有する場合。
- 当社が、委任状合戦の参加者、取締役又は取締役候補とビジネス上の関係を有する場合。
- 当社の従業員が、株主に先立って特定の議案について個人的な利益を有する場合。例えば、個人的に株式を保有している、配偶者が勤務しているなど。
- 当社の従業員が委任状合戦の参加者、取締役又は取締役候補とビジネス上又は個人的な関係を有する場合。
利益相反が生じる場合又はその可能性がある場合は、グループのチーフ・リスク・オフィサーが利益相反の有無及び対処策等について判断を下すものとする。このガイドライン及び議決権行使アドバイザーによる推奨は、殆どの場合において潜在的な利益相反について充分に対処できていると考える。
その他のケースについては、グループのチーフ・リスク・オフィサーが英国プルーデンシャルグループ(以下「最終親会社グループ」)内における独立した役職員に必要に応じて意見を求める。また最終親会社グループに関連して利益相反が生じる場合及びその可能性がある場合は、原則として、独立した第三者の意見を採用する。
*英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。
8. 投票プロセス
- 議決権の投票に係る意思決定は、担当株式運用チームによって下され、実際の投票実行のためにオペレーション・チームに引き渡される。
- 議決権行使に際して利益相反がないことを確かめなくてはならない。議案毎に利益相反に係る或いはその可能性のあるポートフォリオ・マネージャーはその事実をグループのチーフ・リスク・オフィサーに開示し、当該議決権行使プロセスへの参加を棄権することが求められる。
- 集団投資スキーム又はユニット・トラストへの投資に係る議決権行使については、ポートフォリオ・マネージャーは利益相反に直面する可能性があるため、該当する場合はトラスティーとの協議を経て議決権の行使を行う。
- 議決権行使アドバイザーとして、当社は独立した第三者機関であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(以下「ISS」)を利用することとしている。ISSは議決権行使に関する調査及び推奨を提供するが、議決権行使に係る最終権限と受託者責任は当社の運用部が有する。ISSは運用チームに対して分析のための調査及び推奨を電子的な方法で提供する。
- 経営陣に対する反対票を投じる場合、又は投票を棄権する場合、或いは、2. 議決権行使方針に定められていない議案の場合、最高投資責任者(CIO)による承認が必要になる。
- 全ての投票結果の記録、及び議決権行使アドバイザーによる推薦については、適切な書面による承認が成されているか集中管理を行なう。 コンプライアンス部は、当該株式を担当するポートフォリオ・マネージャーにその様な承認の記録について随時詳細を求めることとする。
- 議決権行使の結果の開示(2024年4月~2024年6月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2024年4月~2024年6月)(PDF/EXCEL(データのみ))
- 議決権行使の結果の開示(2023年4月~2024年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2023年4月~2024年3月)(PDF/EXCEL(データのみ))
- 議決権行使の結果の開示(2023年4月~2023年6月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2023年4月~2023年6月)(PDF/EXCEL(データのみ))
- 議決権行使の結果の開示(2022年4月~2023年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2022年4月~2023年3月)(PDF/EXCEL(データのみ))
- 議決権行使の結果の開示(2022年4月~2022年6月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2022年4月~2022年6月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2021年4月~2022年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2021年4月~2022年3月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2021年4月~2021年6月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2021年4月~2021年6月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2020年4月~2021年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2020年4月~2021年3月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2020年4月~2020年6月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2020年4月~2020年6月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2019年4月~2020年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2019年4月~2020年3月)(PDF)
- 議決権行使の結果の開示(2018年4月~2019年3月)(PDF)
- 議決権行使結果の個別開示(2018年4月~2019年3月)(PDF)